- 住所
- 〒988-0241 宮城県気仙沼市波路上岩井崎
昔、明戸浜に白大丸、黒大丸という仲の良い兄弟
がいました。兄弟ともに腕の良い漁師だった。
ある日いつも通りに兄弟は漁に出掛けたが、帰ってくることはなかった。
二人の帰りを待つお爺さんとお婆さんは、
明戸浜よりよく沖が見える岩井崎に立ち、海に向か
い合掌をして毎日無事を祈りました。
いつものように岩井崎で祈っているとゴォーという
地響きとともに大きな地震が起きました。
海の水はどんどんひいて沖の方まで陸続きになりました。
その時、何日も待った息子たちの声がどこからか聞こえてきました。
「私たち兄弟は、あの日大漁で、そろそろ浜に帰ろうとしたら大波にあって船は転覆し海水にのまれ、お仏になった」
「今、大津波が来るから早く高いところに逃げてください。」
「私たちは2度と浜には戻れないが岩となって浜の人たちを守ります。」
その声が聞こえなくなると大津波が襲来しお爺さんもおばあさんも逃げ切れず波にさらわれ亡くなりました。
このお爺さんとお婆さんは手を合わせて祈る姿で岩となり「拝天岩」として残ったといいます。
兄弟は、岩井崎沖合に十倉と呼ばれる岩礁地帯がありその中の大きな岩が2つが白大丸、黒大丸と呼ばれています。
二人は今もここから浜の人たちの安全を見守っています。
爺さん岩は貞観11年の大津波で倒れ、低気圧の影響や浸食により現在はお婆さんの合掌した岩の一部が残されています。